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re collection ーパラダイス、内包する記憶ー Paradise: Internal memories

ONLINE EXHIBITION

  • We encounter various aspects of emotions in our lives.
    There are moments when we can not be honest with ourselves and react to hesitant minds or confusion. On the contrary, there are moments when our hearts become heated with love or filled with memories of pleasant words. There are also moments when we meet something beautiful, which is beyond explanation with words.

  • Something triggers us to call back things from the past vividly.
    It could be a sound, scent, or color.
    Some unintentional words could activate a memory apparatus and bring back a story.
    As we are embraced in this memory, we can naturally become gentle, loving, hating, sulky, or laughing.

  • I wonder if we have selected and stored those memories for our convenience for some time. It is because the hero of the story is “me.”
    But this story won’t tell you the tale too long; the memory will come and go. Then, it will go back to the inside of the memory apparatus.

The memories will continue living as another “genuine reality” in the unknownrealm.

記憶装置

1章 日記

6/17/75’

理性が動機につながらない。
しっかりとロジカルと情熱は振り分けられる。
動機の道筋は記憶からくる波動が働きかけているに違いない。

6/30/75’

友人『M』
「老人が、84日間の航海で過ごす物語、知ってる?
カジキと死闘しながら大魚を捕獲する。
特にその3日間は老人は若者のような心で挑むシーン。。
終盤にサメに襲われ魚が奪われ、自らも闘い大怪我をするんだよ…
そんな苦労があったのにもかかわらず、再び少年と海に出ることを約束するの…
でもね、捕獲する以外のシーンはゆっくりと…退屈の方がウエイトしめるのよ」

友人が、ヘミングウェイ作[老人と海]についての話を誘ってきた。

6/17/75’

理性が動機につながらない。
しっかりとロジカルと情熱は振り分けられる。
動機の道筋は記憶からくる波動が働きかけているに違いない。

6/30/75’

ワタシ
「老人は、海に出て魚を獲ること、それが彼の夢でもあったのかな。
おぼろげながらだけど、その本の記憶にあるのは登場する人物!
カジキ・サメ・ライオン・小鳥などの動物や海や空、雲・星・月・太陽…と、
自然物と宇宙の存在、後…少年と老人のピュアな会話かな」
友人『M』
「……無音で、夜は明かりがない…広い海上でたった一人
ここで過ごす怖さは想像以上…ただ…数人の勇姿と航海に出ると言う条件の元なら
海の旅はパラダイス」

長い会話の中、お互いの心地良いとする場所が違うことに気づいた。
結果、友人『M』とは同じ空間にいて、2種の時間経験をしただけのこと。
共通の中にいた老人の存在がなかったようになったことはなぜか寂しかった。

海と老人か…ジョン・ケージの『4分33秒』が何故か頭を巡る。

tacet
tacet tacet
4分33秒

7/16/75’

この瞬間、この時間を潜る

Japan am11:00 ワタシの今日のランチはパスタ、準備開始。
Italia Veneto に住む友人 am4:00 燃えるような赤の上下のパジャマで爆睡!
America の友人 pm10:00 彼はよく食べる。コーラ片手に残りのピザが…目に浮かぶ。
いつか旅したい南極 ボストーク基地 am7:00 ペンギンgood morning!!

森の生き物は全ていろんな表情で呼吸してる。
海底の全ての魚も、体を踊らせながら呼吸してる。

次元ではない、いくつもの別の表情。

7/29/75’

ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』
読みかけの本が手付かずで…久しぶりに手に取る。
少しだけ読み進めていくと、
長編にしなければならない理由が3編まで読んで理解できた。
信仰や死に対して、国家と教会、様々な人間模様。その裏にある葛藤と嫉妬。
これらを解決するには、膨大な時間がかかる。
その中で、
三男のアレクセイ・カラマーゾフは最後までピュアでいて欲しいとなぜか…心願う。

8/13/75’

7/4/75’

映像は全てモノクロームの世界。
舗装されてない道の至るところに水たまりが見える。
その道を少女が突然現れた。

その少女とは、
ワタシが小さかった時のワタシ。

いくつもの水たまりをワタシは大きく足を上げ、バシャリと水面を叩く。
何度も何度もそれを繰り返す。そのうちに履いている長靴が鮮明な『青』になった。
長靴の部分だけが『青』なのだ。

何度も繰り返すものだから、『青』の長靴が曖昧なシルエットとなる。
『青』が、水たまり一面に映り出した…
その水たまりの『青』は空に逃げるように飛んでいく。

夢の中は全て『青』
に、変わった。

昨夜見た夢の話。

7/6/75’

雨続きだったこの朝、
空はとても澄んだ蒼い。
7月に近い、6月の終わりに
…蒼い、青い、碧い、あおいと頭に浮かぶが 目に映る空色はやはり『蒼い』

デレク・ジャーマン『BLUE』と
イヴ・クライン『BLUE』は同じ、『BLUE』

8/17/75’

突如と降りかかる ワタシは何処から、何から、誰から勢いを得ているの?

ある哲学者は言っていた。
ー思考とは外側を意味しているー
と言う。
意識の隠れた深層へ投げかけられる
重要なものも、
依然として何の深みもなく表面に在る。
思考の背後にあるものは、
あるか無いかで大きく違う、
それは、経験、知識、記憶。

勢いは外部から迫ってきたのではなく、
内側からだった。

8/29/75’

羊が一匹、
羊が二匹、
羊が三匹…
…羊が二十二匹、
羊が二十三匹、
羊が二十四匹…
羊が五十四匹、
羊が五十五匹、
羊が五十六匹…
羊が七十五匹、
羊が百匹、
羊が百十二匹…

羊が…

たくさんの羊が動き出す。
踊っている、
逆立ちしてる、
抱き合ってる、
羊の奇想天外な行動で
落ち着かない。

…眠れない夜は、
想像力を遥かに豊かにする。

9/14/75’

遊園地は『トラウマ』の象徴。

予期せぬ、緊張感と動きについていけない。
ジェットコースター、観覧車、コーヒーカップ…
さらに恐怖しかない、お化け屋敷。

高所恐怖症と…様々な恐怖と不安は、
前世の記憶からくるのではないかとさえ妄想する。

フランス革命期
ブリエンヌの弾圧、自由主義貴族との戦いに敗れ、
自ら、とてつもなく高い崖から飛びこんだ。
そう、きっとそんな理由から……

9/2/75’

価値観の逆転。 文化は依然として、「価値のあるもの」を先に追う。

しかし、ダダイズムとシュルレアリスムの現れは?
思想的探究と否定、攻撃、破壊のニヒリズムが根底。

その背景にあるものは?
社会秩序と、常識が全てではないということ。

価値は揺るぎない自分の中にある。

・記憶装置

まず、老人と海に登場する、
カジキとサメと、ライオン
そして、海や空、月や太陽を袋にしまう。

真っ赤にもえるような赤の、
上下のパジャマが頭から離れない。
このパジャマも袋に。

南極のペンギン『good morning』も
忘れずに!

ドストエフスキー・カラマーゾフの笑顔も
袋の中へ。

大量の羊も
袋の中でも、相変わらずの
ダンス、ダンス、ダンス。

トラウマの遊園地も
隅っこに。

たくさんの記憶が袋の中に。

袋を覗く、
何故か『BLUE』でいっぱい。

その
粒を口に含むと、
蒼い、青い、あおいが広がる。

この
粒を口に含むと
時間が止まった。

森の匂いがする。
海底の匂いがする。

あの
粒を口に含むと
ワタシが小さかった時のワタシが映る。

どの
粒を口に含むと
永遠の今が確保できるの?

最後の粒を口に含んだ瞬間、
日記に綴っていた文字が

消えた。